自律神経のことを理解すればもっとカラダと仲良くなれる

岡田 哲也(おかだ・てつや)

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何だかわからないけどすぐに疲れてしまう。
天気の悪い日は特に体調が悪くなる。
不調続きでスッキリする日がない。

仕方なく病院へ行っても、どこも異常が見つからない。そんな時、多くの場合こう言われます。

「自律神経の乱れからくる症状ですね。」

いっそ「病気です。」って言われた方がスッキリするのかも。現状、慢性的な痛みや不快感といった症状は、多くの場合自律神経の乱れが原因とされています。

医療的な治療法はありません。生活環境の改善、適度な運動といったようなことを指導されることで、納得せざるをえないというのが現状です。
いい日もあれば、悪い日もある。

何をしようと、基本的にはずっと変わりません。
「また、俺かよ。俺のせいかよ。」なんて、自律神経が思ったかどうかはわかりませんが、心や体の事でわからないことは何でも自律神経のせいにしていることは否めません。

結論から言えば、これ自律神経は全く悪くありません。
自律神経が乱れているなんてどんでもない。
むしろ、必死になって働いてくれています。
当然のように、我々の身体を守ってくれています。

ニューロ・アウェアネスのホームページでは、自律神経のことを理解することで、今より元気で、心も体も軽い毎日を送れるような情報をおしらせします。

1.バランスの悪い物体(人間)あなたを支えているのは誰?

人間を一つの物体として考えた時、かなりバランスの悪い物体だということがわかります。

人間と同じ形をした物体と言えば、マネキン人形が思い浮かびます。マネキン人形は、支えなしでは倒れてしまいます。必ず、大きなプレートに固定されたバーによって支えられています。

人間には基本的に支えはありません。さらに、生き物ですから、不安定な状態で動きます。でも、そう簡単には倒れませんよね。時々、こけちゃうことはあっても、普通に立っていられるし、座っていられるし、歩けます。

立っている時に、倒れないようにしようという意識はありません。自覚することなく、このバランスの悪い物体を支えているのです。

あなたを支えているのは誰ですか?
自覚がないとすれば、そうです、自律神経です。

どんな姿勢の時も、どんな動きの時も、自律神経が働いています。
ただ、不思議なことに、この事実がどこにも書かれていないのです。
現状、医療の中では考慮されていません。

自律神経が体を支えるようにと、骨格筋に指令を出す仕事。医学的には骨格筋は体性神経が動かします。ということは、自律神経は体性神経に指令を出しているのかもしれません。とにかく、自覚なく体を支えていることに、自律神経が関わっていることは間違いありません。

2.自律神経のしごと

ここで一般的に言われている、自律神経の仕事について説明しておきます。

自律神経は、体の機能を24時間休みなくコントロールしてくれています。仕事をしている時も、遊んでいる時も、寝ている時も、常に自律神経は働いています。

たとえば運動をすれば、心拍が早くなります。
食事をすれば、胃腸が活発に働き出します。

自分では意識していなくても、自動的に体をコントロールしています。
自律神経の主な仕事は、心拍、呼吸、体温調整、消化、免疫などです。

また、自律神経には交感神経と、副交感神経があります。交感神経は働くときに、副交感神経は休むときに、主に働きます。交感神経がアクセル、副交感神経がブレーキの役割です。

というように、自律神経に関しての説明は、何を見ても同じように書かれています。

以前、信頼できる医師の先生に、自律神経について簡単に説明して欲しいとお願いしたことがあります。「自律神経系は自覚なく作動し、ホルモン分泌も多種多様で簡単に説明することは難しいです。」とのことでした。

どうやら、お医者さんにしかわからないようなものなのか、お医者さんにもわかっていないことがあるのか、自律神経とは難しいものだということはわかりました。そして、自律神経のしごとの説明のどこを探しても、「体を支える」ということは書かれていません。

3.自律神経失調症

自律神経のバランスが乱れた状態。
これを自律神経失調症と言っています。

症状は全身的なものから局所的なもの、精神的なものまでさまざまです。原因不明の慢性的な症状が多く、いわゆる不定愁訴と言われる症状です。

しかし、病院で検査をしても、とくに異常が見当たらないという厄介な症状でもあります。読んで字のごとく、自律神経が調整機能を失った状態ということで、自律神経自体が厄介者にされているようです。

とくに、交感神経は手のつけられない厄介者です。過剰に働く交感神経を、ブレーキの役割の副交感神経で抑えるということが、症状の改善方法です。

しかし、そう簡単に上手くはいかないようです。
現状の医療では、これといった治療法もありません。

しかし、実はこれ、交感神経の過剰労働の結果です。

そもそも自律神経が、意味なく自分自身を不調に陥らせることなんてしません。もっと自律神経のことを信頼してみませんか?その上で、自律神経のことをもっと理解すれば、自律神経失調症はなくなります。

4.もうひとつの自律神経のしごと

「体を支える」これが現状医療の中でも説明されていない、自律神経のもうひとつの仕事。
人間という不安定な物体を常に支えています。

意識せずとも立っていたり座っていたり、そして動いたり。必死でバランスを取っているという意識はありません。あたりまえだと思うかもしれませんが、呼吸や心拍と同じように、あたりまえのことは自律神経の仕事です。

体を支えているのは骨格と骨格筋です。
医学的には、骨格筋は体性神経支配とされています。

筋肉の中でも、意識して動かせる筋肉もあれば、意識することなく動いている筋肉もあります。たとえば、心拍を意識して止めたりできないのは、心臓の筋肉は自律神経支配だからです。また、右手をあげようと思えば右手を上げることができます。

意識して動かせる、これが体性神経支配だということです。

つまり、骨格筋は体性神経が動かしているものなので、自律神経とは切り離して考えられています。でも間違いなく自律神経が頑張ってくれています。体を支えるということは、無意識に行われていることだからです。

自律神経が骨格筋に直接作用しているのか、それとも体性神経に作用しているのかはわかりません。不安定な人間という物体のバランスを保ち、倒れないように支えるように骨格筋に働きかけているのです。そして、この「体を支える」ということに自律神経が関与しているということは、これまでの人間に関わる疑問や不思議の多くを解決出来るきっかけにもなるのです。

体を支えることは、もうひとつの自律神経の大切な仕事です。そして、この自律神経の働きは、現状医療の中でも気づかれていません。その結果、交感神経は過剰労働となり、その状態を自律神経が乱れていると言っているのです。

5.自律神経の過剰労働

体を支えること、体のバランスをとることは自律神経の仕事のひとつです。

車や電車や船にも、バランスを保つ機能を持った装置が組み込まれています。その装置はスタビライザーと言います。スタビライザーは車などの走行を安定させるために、大変重要なものです。

このスタビライザーと同じような働きが人間にもあります。だから特に意識しなくても、立っていたり、座っていたりできるんですね。そしてその仕事を交感神経がやっています。

ただ、その仕事をしてもらっているという考えが医療の中にもありません。だから、この仕事に関しては現状自律神経にやらせっぱなしです。

明らかに体のバランスが悪いと感じていても、その状態を改善しようと努力することはありません。そもそも、その方法がわからないからです。

その結果、自律神経が過剰労働になっているのです。
さらには、自律神経が乱れているなんてことを言っているのです。

自律神経がしてくれているという自覚がないから、まさか働かせすぎだとは思っていません。冷静に考えると、自律神経にはかなりひどいことをしているのです。

というよりも、するべきことができていないのです。

それは、体のバランスを意識的に改善すること。
自律神経の仕事を、少しでも減らす努力をしてあげることです。

自律神経にだって、能力の限界があります。心拍、呼吸、体温、消化、免疫、という生命を左右する通常業務以外の仕事は、出来る限りしなくていいようにしてほしいと思っているはずです。

自律神経が通常業務に集中できるように、それ以外の仕事は出来る限り減らしてあげましょう。それには、常に体を整える意識を持つことです。体を正しく使い、自律神経がキャパオーバーにならないようにすることです。

6.体を正しく使って自律神経の過剰労働を防ぐ

自律神経の過剰労働を防ぐには、体を正しく、バランスよく使うことです。

右のヒザが痛い、背中の左側が痛い、腰が重たい感じ、これすべて体をバランスよく使えていない結果です。特に負担のかかる方に痛みは出やすいです。下半身で左右での動きの差が大きければ、上半身を支える腰に痛みが出ます。見方によっては、その痛みや、重だるい感じは、正常な体の反応だということです。

また、別の大きな原因として、「筋肉のゆるみ」がありますが、これはまた別の機会にお話しします。

そもそも、左右対称にバランスよく使っている人はほとんどいません。仕事にしてもスポーツにしても、必ず左右差はあります。

パソコンのマウスはいつも右手で操作していたり。
デスクトップパソコンのキーボードは体の前にあっても、モニターは左側にあったり。
テニスもゴルフも野球もすべて、利き腕や得意な方で投げたり打ったりしますよね。

毎日の生活の中で、体を左右非対称に使っています。
その毎日の積み重ねで、多くの人は体のバランスが悪くなっています。

体は痛みや痺れという症状で、その状態を知らせているのですが、そこに気づく人はほとんどいません。そして、そのバランスの悪い状態が継続してしまうことが、自律神経の過剰労働につながるのです。

バランスの悪い体を必死で支えるために、交感神経が働く必要があるのです。副交感神経を優位に、なんて言っている場合ではありません。交感神経の仕事を、少しでも減らしてあげられるように、体を効率良く使いましょう。

それには、まず基本的な効率の良い体の支え方「ヤマオリ姿勢」が有効です。
ヤマオリは、折り紙の山折りです。
ぺらぺらの折り紙を山折りにすると、支えなしに立てることができます。

平面を立体にする感じです。
人間も同じ。

意識して三次元的な状態にすることで、効率良く体を支えることができます。つまり自律神経の仕事を減らすことができます。ヤマオリ姿勢は、背骨を中心にタテに折り目をイメージします。

ちなみに、日頃仕事をしたり、何か作業をするときの姿勢は、ほとんど谷折りです。胸を閉じて、手元が動きやすいような姿勢になっています。谷折りは、細かい動きはしやすいですが、支えることには適していません。

ヤマオリ姿勢は、谷折りの反対です。つまり、胸はひらき、左右の肩甲骨を背骨に寄せます。お尻の穴をぐっとしめれば、ヤマオリ姿勢の完成です。簡単でしょ。

良い姿勢と言っても縦に伸びることなく、主に横向の筋肉を意識して使うのです。

ヤマオリ姿勢で、自律神経の仕事を減らす努力をしてあげましょう。今よりもっとカラダと仲良くなれます。それが何より、自分自身の健康につながるのです。

身体出力を上げる脳が望む身体の使い方!|Brain's Consensus Communications

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