慢性的な肩こりは、本人のつらさに比べて、その的確な対処法などは様々なホームページを見ても全く知らされてはいません。命に関わるほどの症状ではないということで医療も深く原因を追求していないのか、最先端の医療でも本当にわからないのか。
この記事ではあらためて、検証してみます。
慢性的な肩こりの原因は?
代表的なものとして、ネット上では、同じ姿勢を続けること、血行不良、目の疲れ、悪い姿勢、骨の歪み、そしてストレスなどが肩こりの原因と言われています。その他にも書けばきりがないくらい肩こりの原因は挙げられています。
肩こりに限らず、原因のわからない症状にはそれぞれの方々の持論による、それぞれの原因がたくさんあるようですね。
どの原因が本当の原因なのか、それを決めるのは症状の改善であることは否定できません。
ある症状に対する原因がわかっていれば、その原因に対しての対処法があり、確実にその症状は改善、そして解消するはずです。
しかし、実際には世の中の肩こりは全く改善していません。
いろんな症状の中で、肩こりほど改善していない症状はありません。
つまりネット上で言われている多くの原因を元に考えられた対処法では、実際に肩こりは良くはならないということです。
要するに、根本的な原因は他にあるということです。
ネット上で言われている肩こりの原因の中に「同じ姿勢」というのがあります。
よく言われているのはパソコンをしている時の姿勢ですが、これ実は姿勢や時間が問題なのではありません。肩こりの人は座る前からすでに肩がこっているし、何時間でも肩こりなしに同じ姿勢で座って作業できる人もいます。
これは、人それぞれの持つ身体の特性に問題があるのです。
その問題とは身体のバランスです。バランスが悪ければ、人間の身体は自分でバランスを取ろうとします。
絶えず体を動かしてバランスをとるか、座ったりして体を動かせなくなると、どこかの筋肉を緊張させてバランスを保とうとするのです。
その筋肉の緊張した結果が肩こりであり、原因はその姿勢でも時間でもなく、その人のその時の身体のバランスが悪いということです。
血行不良や目の疲れ、これらも慢性的な肩こりの「原因」ではありません!
肩こりと同じ、「症状、結果」なのです。
何か原因があって血行不良にもなっているし、肩こりにもなっているということです。
その何か。それが先程も言いました「身体のバランスの乱れ」なのです。
身体のバランスが悪ければ血液循環は悪くなり、各部の機能が低下しています。そうすると身体ももちろん疲れやすくなりますが、目も疲れやすくなります。
繰り返し言いますが、悪い姿勢や、身体の歪みもまた原因ではなく結果です。つまり症状なのです。
悪い姿勢が慢性的な肩こりの原因になっているのではなく、身体のバランスが悪い結果、体が歪んでしまったり、姿勢を悪くしなければつらい状態になっているのです。
原因と言われている様々な症状が、身体のバランスが乱れることで出現します。
そしてその時同時に肩こりも出現します。
慢性的にバランスの悪い身体に乗っかっている重たい頭を、首や肩が懸命に支えてくれている状態、それが慢性的な肩こりなのです。
そしてストレス。
これも、肩こりの原因の一つです。
しかし、直接的な原因ではありません。
だから逆に安心してください。
仮にストレスが肩こりの直接的な原因であったとしたら、改善方法はなくなります。だってそのストレスの原因は解消できないのではないですか?
ストレスは身体のバランスを崩して、ただでさえ不安定な人間の身体を、さらに不安定にしてしまいます。その不安定な中で重たい頭を支えるために首や肩が頑張っているのです。
つまり、肩こりの根本原因は、やはり崩れている身体のバランスです。
そして、この身体のバランスは誰でも整えることができます。
身体のバランスを整えると肩こりは必ず改善します。
1.マッサージはするべき?やめるべき?
解消法をお伝えする前に、よく質問をいただきますマッサージに関して少しお話しします。
マッサージをするべきか、しないべきか?
基本的にはするべきではありませんが、結論は、どちらでも構いません。
肩こりに対するマッサージは、医療で言う対症療法的なものであることはお分かりだと思います。肩こりで言えば、乱れている身体のバランスを整えなければ、いくら凝り固まった肩をマッサージでほぐしたとしても、またすぐに肩の筋肉は緊張するのです。
だってバランスの悪い身体に乗っかっている頭を支えるという重要な役割を果たそうと頑張ってくれているのですから。
それでもやはり慢性的な肩こりはつらいですから、身体のバランスを整えることができるようになるまでは、一時的にマッサージでほぐしてもらってください。
ただし、バランスの乱れた身体の中で頑張ってくれている、首や肩の気持ちをきちんと理解したうえでということが条件です。
しかし、あまり無理なマッサージはするべきではありません。
そもそもマッサージは頑張ってくれているカラダに対する反抗的な行為です。筋肉を硬くすることで身体を支え守ってくれているにもかかわらず、その状態がつらいからといって首や肩をもみほぐしてしまうことは、カラダに対して「身体を支えないで!」「守らなくてもいい!」「よけいなことしないで!」と言っているようなものです。
それでもカラダは決して懲りることもなくこれまで以上に首や肩の筋肉を固めて重たい頭を支えようとしてくれるのです。
そうなれば肩こりとしての症状はますます悪化してしまい、血行不良にとどまらず、筋肉が神経を圧迫して、しびれなどの症状も出てきてしまいます。
言い換えれば、指先などにしびれなどの症状がある場合は、無理なマッサージをするのではなく、まずは身体のバランスを整えることが早急に必要だということです。
慢性的な肩こりがどうしてもつらい時は、頑張ってくれているカラダの気持ちを理解した上での、「軽いマッサージ」にとどめてください。
2.慢性的な肩こりはどう解消する?
1) これまでしてきた解消法は?
さまざまな肩こり解消法が紹介されていますが、実際にそれらを試されて改善していますか?
そのいくつかを紹介させていただきますが、身体のバランスが整わなければ何をしても同じだということを頭に入れて読んでくださいね。
- 姿勢を正す
悪い姿勢が肩こりの原因だと言われていれば、その解消法として姿勢を正せば改善するということがあってあたりまえですが、バランスの悪い身体の自然体は悪い姿勢です。その身体で姿勢を正すということは、かなり無理な力が必要です。肩のみならず、腰や身体全体のトラブルにもつながります。 - 肩まわりのストレッチ
マッサージよりは効果的だと思いますが、固まった筋肉に対してはもみほぐすか伸ばしてほぐすかという違いだけで原因へのアプローチではありません。長年の肩こりで筋肉が固まり、関節、特に肩甲骨の動きが悪い場合に、肩の関節や肩周辺の筋肉に負担がかかりますから、肩甲骨のストレッチは効果的です。しかし、これも身体のバランスを整えていなければ、またすぐに固まり、動きは悪くなってしまいます。 - 深呼吸
これは肩こり関係なく1日一度は大きく深い深呼吸をするべきです。深呼吸には2つの大切な役割があります。空気中の酸素を体内に取り込み、それを血液に乗せて脳や全身の筋肉及び組織に供給するという役割、また胸郭を大きく膨らますと同時に背中の肩甲骨を意識して動かすという役割です。通常の呼吸でも最低限必要な酸素は取り込まれていますが、背中の筋肉を意識するという点で大きく深い深呼吸は必要です。背中の筋肉が身体を支え、またバランスを整えることに重要だからです。 - 運動
適度な運動はもちろん身体にいいのですが、バランスの悪い状態での運動はさらにバランスを悪くしている可能性もあります。軽い運動をしてもすぐに疲れたり、身体のコリが改善しない場合は、ますますバランスが悪くなっている可能性が高いですから、まずバランスを整えなければいけません。例えば、左と右の働きが一定時間で1:3という場合、この3倍の時間の運動をすると左右の働きは3:9となり、その差が2だったものが6になってしまいます。差が大きければさらにバランスは悪くなり、その状態を維持するにはかなりの力が必要になります。結果的に肩こりの症状は悪化してしまうということです。 - 肩ぐるぐる回し
これも肩こりの人は無意識にまた意識的にされていると思いますが、劇的な改善はないですよね。さらに言えば、このぐるぐる回しをよくしている人は、筋肉があまり固まっていない肩こりの人に多いです。肩こり=筋肉の緊張、ではありません。筋肉がパンパンに張っていても肩こりという自覚症状のない人はいるし、肩の筋肉がふにゃふにゃに柔らかいのに、つらい肩こりで悩まされている人もいらっしゃいます。ぐるぐる回しをよくしている人は、比較的筋肉の柔らかい人です。慢性的な肩こりはもっと根深いものであって、単純に肩の筋肉の緊張ではないということです。肩の筋肉が緩んでいることでなおさら首の中のどこかの筋肉に負担をかけてしまっているのです。 - 歯科医院での治療
これは歯科医師である私の専門です。
肩こりで病院やマッサージに行くと、それは歯や顎が原因ですと言われましたということをよく聞きます。虫歯があればもちろん治療が必要ですし、虫歯の痛みのために顎や首、肩に痛みが広がって、それを肩こりの症状として感じる人もいます。しかし、虫歯が全くないのに歯に痛みがある場合は、歯が痛いから肩がこるのか?肩がこっているから歯が痛くなるのか?どちらだと思いますか?
正解は、どちらも不正解。
歯が痛くなっているのも、肩がこっているのも、身体のバランスが悪いからです。だから、身体のバランスを整えることで、肩こりはもちろん、歯の痛みまで解消します。これ、知っておかなければ、虫歯でもない歯の神経を抜かれてしまいますよ。 - 専門家による治療
これは皆さんの方がよくご存知だと思います。
鍼灸院、整体、マッサージ、カイロプラクティック、東洋医学の治療院、そして整形外科。それぞれがそれぞれの持論の中で肩こりに対するアプローチをされています。人それぞれ、合う合わないがあり、それなりに納得して通われている人はそれでいいと思います。しかし、一時的な改善に不満を感じていたり、いつまで通院するのか不安に思っていたりする人は、今までとは違う何かが必要であることは間違いありません。
それは、良くしてもらおうという願望ではなく、自分で改善していこうという意識です。
してもらうのではなく、するのです。
次項では、そんな自分でできる肩こりの解消法をお教えします。
また、肩こりの原因が実は内科的な病気が原因だったということもあるようですから、症状があまりにもつらいような場合は、一度病院で検査をしていただくことも必要だと思います。
2)簡単すぎて信じられない自分でもできる解消法
本当に大切なものはあなたの中にある
世の中には肩こりで悩まれている人がたくさんいらっしゃる反面、全く肩こり知らずで病気にも縁のない元気な人もいらっしゃいます。そんな相反する両者の違いはいったい何なんでしょうか?生活環境や習慣などの様々な条件もあるでしょうが、一番大切なことであり、一番の原因となっていること、それが身体のバランスです。
一番大切なものは環境などの外的要因ではなく、あなたの中にあるのです。
肩こり知らずで病気にならない人は、本人の自覚はありませんが絶えず無意識に身体のバランスを整えています。そういう感覚を先天的に持ち備えているのです。
逆に肩こりでお悩みの人は、肩こりのみならず身体中の不調もあるのではないですか?そんな方は、意識的に身体のバランスを整える必要があります。
難しく考えないでください。病気にならない人が無意識にしていることを意識的にするだけです。
特別な人ではなく、同じ人間がしていることですので理解すれば簡単なことです。
簡単すぎて信じられない!
という意識が邪魔をしないようにしてください。
意識的に身体のバランスを整えてみましょう。
3.キーワードは「筋肉のサボり!」
基本的に慢性的な肩こりは筋肉の緊張です。前述のように肩表面の筋肉がたとえ緩んでいても、そのもっと奥の首の筋肉が緊張しています。
緊張しなければいけない理由は簡単。
身体や重たい頭を支えなければいけないからです。
その緊張が強くなれば、それを痛みとして感じているのです。
つまりその痛みやコリは身体を支えるためには必要なものであって、本来感謝しなければいけない感覚なのです。
まずしなければいけないことは、原因不明の慢性的な痛みやコリに対してのマイナスイメージを一掃することです。
頑張って自分を支えてくれている恩人に対して腹を立ててはいけません。
当たり前のことですよね。
なぜ、肩や首の筋肉がそれほどまでに頑張ってくれているのか、冷静に考えてみましょう。
それは、身体のバランスが悪くなっている状態を必死で立て直そうとしているため、またそのバランスの悪い足場の上で必死にバランスをとっているためです。バランスの悪い足場でバランスをとりながら、さらにその上の頭を支えるという、アクロバットのようなことが身体の中で起きています。
また、それは身体の各部分の働きにムラがあるためでもあります。
例えば、怪我などのために無意識に力をかけないようにかばっていたり、生活の中での偏った身体の使い方で右足の筋肉に力が入っていないようなときには、左足の筋肉は右足の分も頑張って身体全体を支えてくれています。
その状態が一時的ならば問題はないのですが、とっくに怪我は治っているのに、力をかけない癖のようなものが残っていたり、職場での身体の使い方(例えば左足だけ踏ん張るとか、右から左への流作業だとか)を、無意識に家でもしていたりしていると、右足の緩みは改善することなく、これはもうずっとサボっている状態が続いてしまいます。
つまり左足は頑張って、右足はサボっているというバランスの乱れた下半身の上で上半身が必死でバランスをとっている状態が続いてしまうということです。
また両足の筋肉がサボることがあると、腰や背中の筋肉がいつも以上に頑張らなければならなくなります。まるでふわふわ不安定なバランスボールに終始乗り続けているような状態です。
バランスが乱れる原因もまた身体の上下、前後、左右の働きのムラです。
つまり、肩こりの原因はバランスの乱れであり、その原因は身体の中のサボっている筋肉だということです。
4.サボっている筋肉にスイッチを入れていきましょう。
身体のバランスを整えるために、サボっている筋肉や関節のスイッチを入れて、身体のムラをなくします。
方法は簡単。
頑張っている筋肉の負担を少しでも軽くするために、サボっている筋肉や関節を刺激して起こすのです。
簡単な検査もありますが、これにはパートナーが必要です。
下記を参考に簡単な検査を行ってみてください。
http://www.jigensystems.com/check/
検査ができれば、力の入らない部分を重点的に押さえたり、回したり、触るだけでも結構です。とにかく意識して刺激してみましょう。「ここが働きだすことで負担をかけている部分を楽にしてやる」という意識が重要です。
検査ができなければ、まずは両方の足首を回してください。
次に膝。
股関節。
上半身は背中をねじる。
肩甲骨を動かし深呼吸。
身体中のスイッチが入り、筋肉や関節が身体を支えるために働きだすと、過剰に緊張していた首と肩の筋肉は必ず緩んできます。頑張って支えなくていい状態になったからです。
それでも変化を感じられなければ、もう一度、肩や首に対する感謝の意識を確認しながら、今度は頭を刺激しましょう。
耳の後ろの後頭骨を少し強めに刺激します。首や肩が頑張ると同時に頭自体もかなり必死になって体の重心から外れないように頑張って力を入れています。それは頭皮の中の薄い筋肉の緊張によって支えられています。
指で押して、少し痛いところ、いた気持ちいいところを探して刺激してみてください。
視界が広がり、身体の変化を感じるはずです。
5.生活意識を変えていこう!
慢性的な肩こりは身体のバランスを整えることで必ず改善します。スッキリ解消とまではいかなくても身体の変化を感じることができるはずです。続けることで必ず慢性的な肩こりは解消できます。良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、必ず良くなっていきます。
悪くなった時、つまり肩こりを感じた時に、あなたはどう考えますか?
「また肩が凝ってきた。やっぱり自分で良くすることなんてできない。」
こう考えてしまえば、あなたはそれ以上良くはなりません。引き続き慢性的な肩こりに悩まされる日が続いてしまいます。
「あっ、肩が凝ってきた。ということは足の筋肉がサボりだしたのかも。」
そう考えられるあなたは、今後もっともっと良くなって肩こりは解消できます。
生活の中では左右非対称の動きや、無理な動きがいっぱいです。ある筋肉は頑張り、ある筋肉はサボり、バランスが整うことはなかなかありません。
毎日の生活の中で、常に身体のバランスを意識してみましょう。
肩に限らず、コリや痛みのある部分は身体を支えるために頑張っているありがたい部分です。感謝して負担を減らす動きや、サボっているであろう部分を刺激することを心がけましょう。
また、ストレスは一瞬で筋肉を緩ませて身体のバランスを乱してしまいます。
この時の筋肉の緩みも、リラックスの緩みではなく、やはりサボらせてしまう方の緩みです。どこかがサボるとどこかが頑張ります。
そして人は自分の中の筋肉がサボっているという状態をあまり意識出来ません。
意識できるようになるのは、その次の段階で、サボった筋肉の代わりに頑張ってくれている筋肉のこわばりです。
結果的に、ストレスが原因で肩が凝る、ということが起きているのです。
ストレスを感じなくすることは不可能です。
しかし、ストレスによって身体が影響を受けるということを知っておくだけでも、その影響を受けにくくすることができるようになります。
事実、同じようにショックなことがあっても、すぐに立ち直れる人もいれば、ズルズルと引きずってしまう人もいます。
この両者の違いが身体のバランスを無意識に整えられるかどうかということです。精神的に強い人は、心の変化の影響を体に受けにくくできるのです。
心と体は繋がっています。
ショックなことがあっても、意識的に身体のバランスを整えることで、少し前向きになれると同時に、肩こりなどの症状は出にくくなります。
肩こりをはじめとする身体の痛みや症状はお知らせのようなものです。
身体のバランスが乱れている時には、必ず身体のどこかにお知らせが出ています。そんなお知らせを感じながら生活してみてください。
過敏になれということではありません。
身体に何か感じた時に、ふと思い出していただければ、カラダも喜びます。
「あっ、どこかが頑張りだしている。ということはその前にサボっているところがあるということだね。わかった。ありがとう。」そんな感じ。
カラダの声が聞こえると、なんか、元気になってきますよ。
まとめ
何年も何十年も慢性的な肩こりに悩まされ、ありとあらゆる改善法を試してきた人にとっては、あまりにも簡単すぎて信じがたいことだと思います。しかし、考えてみてください。これまでに「意識を変える」という改善法はなかったと思います。これ何もいらないのです。何かしてもらおうと考えなくてもいいのです。
「自分自身が変わる」それだけです。一番簡単そうで、一番難しいことかもしれませんが、記事の内容を読んでいただき、冷静にカラダと向き合ってみてください。あなたのためにずっと頑張ってくれていた、肩が愛しく思えてきますから。