肩の痛みの原因は下半身?原因不明な痛みと身体の使い方

岡田 哲也(おかだ・てつや)
肩の痛み

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毎日生活している中で、身体の動かし方を意識したことがありますか?歩いたり走ったり、階段を上ったり、階段を下りたり、飛んだり、座ったり、重いものを持ったり、何かものを投げたり…。
おそらく特に意識することもなく、なんなくこなしていると思います。いえ、こなしていると思っている、と思います。
実は、その身体の使い方は間違っているかもしれません。

身体の使い方が間違っている?

身体の使い方を間違うと、カラダはさまざまな形でお知らせをしてくれます。そのお知らせのひとつが「痛み」です。

たとえば、関節を必要以上に曲げようとすると痛くてそれ以上曲げることはできませんよね。言いかえればそれ以上曲げると関節が壊れてしまうからです。

痛みを出さなければ、関節が壊れてしまっていることにも気づかずに、結果的に身体が壊れてしまいます。そんな状態を避けるために、カラダは身体の使い方が間違っていると必ずと言っていいほど、痛みや症状を出してお知らせしてくれています。

気づいていましたか?

特に何をしたということもなく、気がつけば感じている痛みや、原因不明の身体の痛みは、実は、体の使い方を間違えているのかもしれません。

たとえば、なにも意識せずに歩いているとき、腕を前後に降って、左右の足を交互に前に出していますよね。特に意識はしていないと思います。

この歩くという動作ひとつとっても、実はひとそれぞれに特徴があります。体全体を使って歩ける人、また体の一部しか使わないで歩いている人。

モデルさんの歩き方を見ると、体全体を使っているような歩き方ですよね。また逆にお年寄りの歩き方は主に膝から下しか動いていないように見えませんか?

イメージしてみてください。

腕を大きく降ると歩きやすいですよね。足が勝手に前に出てくれます。では腕組みをして歩くとどうでしょうか?何か窮屈な感じがして、腕を降って歩く時とは違う感覚だと思います。どこかに負担がかかっているような気がしませんか?しかし、みなさん生活の中で実はこれと同じようなことをしています。

  • 両手に荷物をいっぱい持って歩く。
  • 片手に傘を、片手はポケットにいれて歩く。
  • 腕を組んで歩く。
  • 赤ちゃんを抱っこして歩く。

そんな時には、本来の動きとは少し違う、ちょっと窮屈な歩き方をしているのです。たとえば、膝に負担をかけていたり、股関節に負担をかけていたり、腰に負担をかけていたり、また左右どちらかの足首に負担をかけていたりというふうに。
負担が持続すれば、それはやがて痛みになります。

年をとると膝のトラブルが多くなりますが、お年寄りの歩き方は、結果的に膝に負担がかかる歩き方になっているのです。

四十になると肩が頑張る四十肩

俗に言う四十肩や五十肩は、体をうまく使えていない見本のようなものです。

腕をあげようとすると肩に痛みが走る。肩が痛くて手が上がらない。
痛いのは肩、悪いのは肩、そう思ってしまいますよね。

しかし、その痛みは、肩が精一杯動いた結果「もうこれ以上動けない!無理!」という叫びみたいなものなのです。

腕は肩の関節で体にくっついていますが、手を上げる時に動かなければいけない関節は肩の関節だけではありません。肩の関節の胴体側には肩甲骨という二等辺三角形を逆さにしたようなカタチの骨があります。肩の関節を構成しているこの肩甲骨が動くことによって、スムーズに手を動かすことができるようになります。

本来、肩甲骨はほぼ浮いているような状態の骨で、自由に動くことによって肩と腕をつなぐ役割をしています。

したがってこの肩甲骨の動きが悪くなることによって、当然、腕の動きも悪くなり、手があがりにくくなったりするのです。動きの悪くなった状態で無理に動かそうとすると、それは痛みとなりカラダがそれ以上動かさないようにストップをかけるのです。

また肩甲骨は、足の付け根である股関節の動きとも連動しているので、股関節の動きが悪くなれば、肩甲骨の動きも悪くなり、結果的に腕の動きにも関係しています。

つまり、四十肩の原因が下半身にあるかもしれないということです。

言いかえれば、手をスムーズに上げるには、下半身を含めた全身をうまく使わなければいけないということです。

身体の動きは共同作業

手をあげるという動作ひとつにも、下半身が関係していることは、なんとなくイメージしていただけましたか?

いちいち意識していなかったことを意識することは難しいと思いますが、簡単に言えば、右手をあげたバランスの悪い上半身を無意識に左の下半身で支えている、また反対に左手をあげたときには、その対角線上の右の下半身が支えている、ということです。

支える部分がたよりなければ、動こうとする部分は本来の動きはできません。結果的に、カラダは痛みや症状を出してその動きを制御します。

身体をうまく動かすには、この体のつながりを知り、そのつながったラインを意識して無理なく動かすことです。

たとえば、右手の親指と人差し指で何かをつまむ時、どこの筋肉が働いていると思いますか?

軽くつまむぐらいならこの親指と人差し指の筋肉だけでも難なくこなせると思います。例えば、パソコンのキーボードを打つぐらいであれば指先だけの筋肉でも十分ですよね。

しかし、さらに力が必要な作業をするとき、ワイングラスを指先でつまんで持ったり(それが正しい持ち方かどうかは別として)、ピスタチオの殻を指先でつぶしたり、これでもかというぐらいの力を出そうとした時、指先から、前腕、そして上腕、さらに胸や背中にも力が入り出すことを実感できると思います。

パソコンのキーボードを打つときに、胸や背中の筋肉を意識することはまずありませんが、実際には胸の筋肉や背中の筋肉の中にも、これらの指先を動かすための筋肉がもともとあり、その筋肉を意識することでもっと楽に、疲れ知らずの指先になれるのです。

このように指先ひとつ動かすだけでも、胸や背中、さらには反対側の背中や、それを支える下半身までもが関与しているという共同作業なのです。

体の動きはすべて共同作業で成り立っています。

それを意識できなければ、実際に動かそうとする部分だけに負担をかけてしまい、その力が負担オーバーとなれば、そこに痛みが出て、それ以上動かせなくなってしまいます。

手をあげるときに腕しか意識していなければ、痛みとともにストップさせられて、手を上げることができませんが、意識を身体全体に向けて手を上げようとしたとき、腕があがるとともに肩甲骨が動き出し、その上半身を支えるように下半身に力を感じるようになると、スムーズに手があげられるようになってきます。

それが共同作業。

体の動きは常に共同作業だということを意識してみてください。

すると体を効率よくうまく使えるようになります。

効率よく無駄なく使えれば、カラダからの痛みというお知らせを感じることもありません。

逆に、体を動かすときに痛みを伴うということは、無理に体を動かそうとしているのかもしれません。たとえ指一本動かすときでも、体全体を意識して動かすようにしてみてください。とくに力を必要とするときには、必ずその意識が必要です。

その意識がなければ、体はスムーズに動かなくなっていきます。

体全体を常に意識して、うまく自分自身を動かすようにしましょう。

でも、安心してください。身体をうまく使えていない時には、ちゃんとカラダは痛みを出して教えてくれます。

身体出力を上げる脳が望む身体の使い方!|Brain's Consensus Communications

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