慢性的な痛みに苦しむ方、原因不明な痛みに苦しむ方は、仕方なく痛み止め、鎮痛剤を服用されます。しかし、痛み止め、鎮痛剤を飲んで、その瞬間だけ痛みが消えても、痛みの原因が消えることはありません。痛みにどう対処したらいいか、痛み止めを飲まずにどうやって痛みから解放されるのか。その傾向と対策を考えてみましょう。
1. 痛み止めを飲んではいけない理由
1-1.痛み止めは病気を治す薬ではない
痛み止めは、病気を治す薬ではありません。
しかも、痛みは体が教えてくれる不調のサインです。
だから、その不調を改善せず、痛みだけ消してはいけないのです。
さまざまな薬が処方されるなかで、ほとんどの薬が人間の機能を補っている薬です。
しかし、痛み止めだけは、人間の機能を補っているのではなくて、人間の体の声を消してしまっているものです。
たとえば風邪薬は、炎症を抑えたり本来人間が持っている免疫力や自己治癒力を引き出し、補う薬です。
だから、風邪薬飲んだらすぐ治るわけではなく、何日か時間が必要です。時間が経てば治るのですから、飲まなくてもいいともいえるのですが、風邪の諸症状に対する自分の体の反応を補うものとして使われているわけです。
胃腸薬の場合も同じで、胃や腸内の細菌を整えることをはじめ、やはり体の中に本来ある免疫力や自己治癒力を補うものです。
ところが、痛み止め、鎮痛剤は、そういった免疫力や自己治癒力を高め補うものではまったくありません。
痛みをやわらげるとか、痛みを無くすというのは体の機能には無いのです。
1-2.痛みをただ消してはいけない
痛みは、体の不調を知らせるサインです。
痛みがなければ体の不調に気づかず、ますます体は不調になるばかりです。
痛みを知らせることは、最も大切な体の機能のひとつです。
だから、他の薬と痛み止め、鎮痛剤は意味がまったく違うのです。
もちろん、痛み止めが必要で、有効な場合もあります。たとえば、怪我をした時の痛みをはじめ、急性の痛みを取りたいとき等、痛み止めは有効です。
けれど、原因不明の慢性的な痛みを痛み止め、鎮痛剤を飲み続けることで消してしまうことは、体のためには良くないことだと断言できるのです。
原因不明の慢性的な痛みは、不調を教えてくれる体のサインです。それを痛み止め、鎮痛剤で消そうとしても、そのサインが消えることはありません。
そうではなく、痛みの原因を理解して、その原因を解消すれば痛みも消えてくれるのです。
それなのに、ただ痛み止め、鎮痛剤で痛みだけを消してしまっても根本的な改善にはなりませんから、当然のことながら痛みはまたぶり返してしまいます。
2. 慢性的な痛みを痛み止めで消してはいけない理由
2-1.慢性的な痛みの価値
慢性的な痛みは、体の不調の継続を教えてくれるサインです。
痛みに苦しむ方のお気持ちは承知なうえで言わせていただくのですが、痛みを忌み嫌って、ただ単純に消せば良いという考え方だけは改めていただきたいのです。
そもそも、痛みを消すという作用が、人間の体には本来備わっていないことが何を意味するかということを理解していただきたいのです。
特に慢性的な痛みを消すという作用が、人間の体には備わっていないのです。
それなのに、薬を飲んで慢性的な痛みを消そうというのは、その慢性的な痛みの原因に目をつぶってしまうということなのです。
痛み止め自体は、病気の原因を治癒するわけではありません。まさに、対症療法のトップといえるでしょうか。
もちろん、痛みの辛さはよくかわります。飲むなと言われても「いや、痛いんだから」という感じがあるでしょうか。
でも、ただ痛みを消してもそれで問題が解決するわけではありません。
痛みという体のサインをきちんと受け止め、どこにどういう痛みが出ていて、何でそこに痛みが出るのかを解明していくことが必要です。
それなのに、ただ痛みだけを消しても、痛みの原因自体はそのまま残っているわけですから、むしろ体の状態は悪化するばかりです。
2-2.慢性的な痛みへの対処法
慢性的な痛みは、まず痛みに目を背けないことがいちばん大切なことです。
痛みの理由を見いだそうとするだけで、痛みが減ってくることもあるのです。
私の患者さんでも、痛んでいる箇所を細かくチェックするだけで痛みが和らいでいくということもよくあることです。
痛みについて会話しているだけで痛みが和らいできたということもあるのです。
2-3.慢性的な痛みは、痛み止めで消さず、「ニューロ・アウェアネス」で気づきを与える
慢性的な痛みを消す鎮痛剤は、いますぐ飲むのをやめてください。
でも、やめてどうするのかということが最も大切なことに違いありません。
ただ痛み止めを飲むのをやめるだけだと、もちろんそのまま痛みは継続するわけですから。
痛み止めを服用するのを、急に全面的にやめなくてもいいのです。徐々に自分には必要ないと思った薬はもう飲まないようにすればいいのです。「これは飲まなければ不安だ」と思う薬は飲んでください。
そして、この「ニューロ・アウェアネスでの気付き」を繰り返しながら、少しずつ薬を減らしていくと、気がついたら飲む薬がなくなっているという状態にもっていけるのです。
だんだん薬が減っていくっていうことが大切なことです。
原因不明の痛みに苦しみ、医療機関を転々としながら、痛みや病気や薬に関する何冊もの本を読み続け、それでも改善の仕方がわからない。そんな方が「ニューロ・アウェアネス」に出会って、慢性の、そして原因不明の痛みから解放されていくのです。
私の患者さんで、痛くてただ歩くこともできないという方がおられました。
最初は痛いわけですから歩くのも不安定な歩き方でしたが、何回かの「ニューロ・アウェアネスでの気づき」の結果、普通に山登りしたりできるところまで回復された方がおられました。屋久島に屋久杉を観に行ってきたとご報告いただきました。屋久杉を観るのは結構大変で、6時間歩いて6時間かけて戻ってくるという、普通の元気な人でもなかなか歩き通せないような行程を歩き通せたと喜んでいただきました。
ところが、その方が周りのひとにそのことを言っても、誰にも信じてもらえないどころか、あなたはだまされているとさえいわれてしまったそうです。
現実に痛みが取れたのに、周りのひとは信じてくれないのです。
薬ももちろん飲んでいません。ただ「ニューロ・アウェアネスでの気づき」でバランスを整えただけなのですが。
痛みの原因はひとそれぞれです。痛みが出ている部分と、痛みの原因が潜んでいる部分はまったく違うところです。
そして、痛みという体のサインをしっかりと聞いてあげることから「ニューロ・アウェアネスでの気づき」ははじまるのです。
まとめ
痛み止め、鎮痛剤は、いますぐ飲むのをやめてください。でも、薬がよくないことはわかっていても、痛みが治まらない限り手放せない。副作用で歩けなくても、痛みを取るか副作用を取るかというふたつの選択肢しかない。慢性的な原因不明の痛みは、ほんとうに途方に暮れる病です。
だからこそ、ひとりで悩み苦しんでいないで、「ニューロ・アウェアネスでの気づき」でその原因を解明し、痛みから解放されていただきたいのです。
「ニューロ・アウェアネスでの気づき」は、あなたの原因不明の痛みの、その原因にアプローチするいままでにない方法です。
ただ痛みを消してしまうだけでは、決してあなたの体はよくならないのですから。