自律神経を鍛える!?そのおかしな誤解と解消法を3つご紹介。

岡田 哲也(おかだ・てつや)
自立神経は鍛えることができるのか。誤解と解消法

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「自律神経を鍛える」という発想をもつあなたは、自律神経が弱いから自分は病気になりやすいのでは…と思っているのでは?

結論から言えば、自律神経を鍛えることはできません。
また鍛える必要もないのです。

身体の不調に悩まされているあなたの自律神経はすでに働きすぎています。
仮に鍛えられたとしても、これ以上働かせようとすれば自律神経はもとよりあなたが壊れてしまいます。

この記事では、あなたの健康のためには、いかに自律神経を必要以上に働かせないようにすればいいのかということをお伝えいたします。

1.自律神経とは?

1-1)医療も手をやく自律神経?!

自律神経とは?と言いながら、大まかな説明に関してはここでは省略させていただきます。
みなさまもすでにある程度はご存知だと思いますし、医学の中での解説に過ぎないからです。

身体の不調のほとんどは自律神経の異常や変調から始まります。

しかし、現実の話としてこの不調を現在の医療では改善することはできていません。

それどころか、様々な薬による副作用で症状が増えたり、悪化したりということも少なくはないようです。
医療では改善できないということは、医学の中での解説も不完全だということです。

自律神経で悩む人

1-2)自律神経失調症という病気はない?!

そもそも自律神経の異常や変調からくる身体の不調は自律神経失調症とされていますが、実際の医学の中では、頭痛などの症状に対しての治療が行われるだけのようで、一部では自律神経失調症という病気はないとも言われているようです。

つまり、自律神経に対しての治療は医療ではできないということです。

我々が生きていく上で大変重要な機能をつかさどる自律神経なので、その機嫌を損ねないように、多少のことは目をつむって…、という感じであまり手をくだすことはできていないようです。

困り果てる

1-3)自律神経は問題児なのか?

医療さえもが振り回され、見方によれば言うことを聞かない問題児扱いされている自律神経。

みなさんもご存知の通り、特に意識しなくても心臓を動かしてくれていたり、呼吸をさせてくれていたり、食べ物を消化したりという大切な役割をしてくれています。

しかし、その一方で頭痛や肩こり、睡眠障害、身体のだるさや、イライラ、憂うつといった状態も、自律神経が働いた結果と言われています。

イライラ

しかし、自律神経が働くことで、必ず身体の不調を感じるのかといえば決してそんなことはありません。現実にそのような不調を全く感じずに毎日を楽しくイキイキと過ごしている人もいらっしゃいます。

健康なカラダ

1-4)自律神経の影の仕事

イライラしている人とイキイキしている人の違いは、自律神経が必要以上の仕事をしているかしていないかの違いです。自律神経は生活の中で、身体の機能を調整する役割を果たしていますが、一般には知られていない何かをするために働きすぎることで、自律神経失調症と言われる様々な症状が発生します。

失調症(調整機能を失った)として問題児扱いされていますが、実際には自律神経の本当の姿を理解しきれていないだけで、本当はみなさんが思っている以上に陰で仕事をしてくれているのです。

毎日毎日、陰で支えるという大切な仕事をしてくれているのです。

 1-5)自律神経の大切な仕事

それは身体を支えるという仕事です。

もちろん、実際に支えるのは体性神経支配の骨格や筋肉なのですが、その筋肉などをコントロールして、間接的に支えているのです。

まさしく陰で支えているんですね。

筋肉や骨格、内臓などたくさんのパーツでできている人間の身体は、その頭でっかちの胴体を二本の足で支えるという大変不安定な物体です。そして、そのパーツの一つ一つが常に仕事をしていればいいのですが、中にはサボっているパーツもあるのです。

バランスをとって歩く

自律神経はその時その瞬間の身体の状態の中で、身体中のパーツの中から頑張ることのできる部分を見つけ出して、バランスの悪い身体を支えています。

残念ながら、サボっているパーツに働きかければいいのですが、それは体性神経の役割のようです。体性神経の役割は随意的な動きなので、サボっているパーツを動かすには、まずその現状にあなたが気づくことが必要になります。

つまり、あなた自身が「身体の中にサボっているパーツがある」ということに気づかなければ、頑張っているパーツをさらに頑張らせるという指令を自律神経が出し、その結果あなたの身体を支え続けてくれるのです。

そのため、サボっているパーツが多く、バランスが崩れている身体の方は、自律神経がより、働かされてしまうことになるのです。

2.自律神経と体性神経の関係

2-1)不随意神経である自律神経

自律神経は主に内臓系を制御しコントロールしている神経です。心臓は血液循環のために休まず動き続けているし、肺は呼吸のためにやはり休まず24時間働いています。胃や腸も食物や栄養の消化、吸収、排泄という仕事を必要な時にしてくれるし、血管を緊張させたり、緩めたりして血圧のコントロールをしているのも自律神経です。

不随意という名の通り、私たちが意識することなく私たちの身体を支えてくれている神経です。

そして、身体のバランスを維持することも自律神経の仕事です。
しかし、これは一般的には知られていないようです。

そのため自律神経が身体のバランスを維持してくれている時、何をしているのか理解されずに、「自律神経が乱れている」という表現をされてしまっているようです。

自律神経がバランスを整える

2-2)随意神経である体性神経

体性神経は、主に筋肉や骨格に働きかける神経です。これは随意神経であり、意識して動かすことのできる神経です。逆に言えば、基本的には意識しなければ動かすことのできない神経です。

また自律神経にコントロールされている内臓などは、その働きが一定レベルの範囲内を維持できるように、極端に頑張ったり、またサボったりすることは通常ありません。

しかし、体性神経で制御、コントロールされている筋肉や骨格は、内臓のように無意識にコントロールされることはありません。

お気づきではないと思いますが、働きすぎたり、さぼったりしているということです。

全身のバランス

随意神経ですから自由に動かすことはできますが、その働きの状態を一定レベルに保つには、基本的には意識してコントロールしなければならないのです。

つまり、頑張りすぎている筋肉や、逆にサボっている筋肉をきちんと把握する必要があるということです。

2-3)自律神経と体性神経の性格

自律神経の性格は不随意的左右非分離です。

たいへん難しい表現ですが、簡単に言えば「特に言われなくてもいつでも勝手にバランスをとるので任せてください。」ということです。つまり身体を常に普通の状態に保とうとしてくれています。

これをホメオスタシス(体内に生じた色々な機能のアンバランスを元の状態に戻そうとする作用(恒常性維持機能))と言います。

これに比べて体性神経の性格は、随意的左右分離です。

これもまた簡単に言えば、「言われたらしますけど、特にバランスが悪くても気にしない、と言うか、、あちらはあちら、こちらはこちらです。」と自由奔放マイペースな感じです。 身体が異常な状態になったとしても、言われるまで何もしてくれないのです。

性格の違う2人

2-4)自律神経と体性神経の関係

直接身体を支えているのは体性神経が制御している筋肉と骨格ですが、実際には自律神経が大きな役割を果たしています。例えば左右のバランスが乱れていては本来普通に立っていることはできませんが、自律神経の恒常性維持機能が間接的に筋肉や骨格に働きかけて、体性神経の仕事をフォローして身体を支えています。

天真爛漫な体性神経は、個人プレイは得意ですが、チームプレイはあまり得意ではありません。
その結果、チームプレイのことをいつも気にかけている自律神経に迷惑をかけっぱなし。

ただし、自律神経もまたチームのことを考えすぎるあまりに個人個人には目が届かず、故障者続出でチームとしてなかなかいい結果が出せないというのが現状です。

つまり、自律神経が身体を支えようと頑張れば頑張るほど、痛いところや不調が現れてしまうのです。

そして結果的に、自律神経が乱れていると言われてしまうのです。

しかし原因は、身体のバランスの乱れを作ってしまう天真爛漫な体性神経です。

そもそも自律神経の本来の仕事は、チームの立て直しではなく、チームの運営管理です。

それならば、意識して身体のバランスを整えれば、自律神経は本来の仕事に戻り、チームも個人個人もいい結果を出せるのではないでしょうか。

自律神経

3.身体のバランスを整える

自律神経の働きは重要です。しかし、働きすぎることは身体のトラブルの原因にもなります。

それらを避けるためには、自律神経が必要以上に働かなくてもいい環境を作ってあげればよくて、意識して身体のバランスを整えることで実現できるのです。

3-1)体性神経を刺激する

まずは、個人プレイで頑張る体性神経の個々のレベルを上げてやりましょう。

具体的には、頑張りすぎている部分とサボっている部分があるということを理解することから始めます。

左右で力を入れて頑張れる側、思うように力が入らない側が確認できれば、力の入らない側の関節を刺激し、筋肉も軽く押さえて刺激します。

足ならば、力の入らなかった方の足首を回したり、上半身は肩を回したりするのも効果的です。

足首を回す肩甲骨を動かす

一人でのチェックは難しいですから、基本的には左右で痛みやコリなどの症状がある方が頑張っている方です。

力の入らない方ですから、症状のない方を刺激しましょう。

えっ?!痛みのある方、コリのある部分をマッサージするのではないのですか?」と思ったのではないですか?

まずは、そこの意識を変えてください。

これまでしてきたことが全く逆だったということを認識していただきたいのです。

3-2)身体を安定させてバランスを整える

自律神経が必要以上に働かなくてもいい環境。それはバランス良く支えられた身体です。左右のバランスチェックが難しかったり、いち早くバランスを整えたい方は「山折り健康法」をしてみましょう。

疲れた時、人は前かがみになり前傾姿勢になります。腰は曲がり、背中は丸まり、肩は落ち、うつ向き加減になります。また老化とともに筋肉が緩んでくることでも前傾姿勢になってきます。

疲労による前傾姿勢加齢による前傾姿勢

そんな姿勢を正そうと、無意識に背中や頭頚部の筋肉に負担をかけてしまい、その結果、頭痛や肩こり、背中の痛み、腰痛など、さまざまな症状が現れます。

前傾姿勢は、実際には菱形筋や広背筋の緩みであるにも関わらず、その姿勢を頸部、腰部の伸展筋群に力を入れることで修正するという、実は間違った意識が働いてしまっているのです。

無意識に頑張る

無意識に頑張る

 

頭や背中を後ろにそらして戻そうとする意識ではなく、背中を谷折りにするイメージを持ってみてください。つまり、前面から見ると山折りになります。

背中を谷折りにする

意識することで楽になる

 

カラダを山折り(MFストレッチ)

カラダを山折りにする、または山折にするイメージをもつことで、無駄な力を使うことなくカラダを支持することができます。

ペラペラの1枚の紙は手を離すと倒れてしまいますが、山折りにすると手を離しても立たせることができることをイメージすると分かりやすいですね。

3-3)交感神経を働かせる

バランスの悪さなど気にしない個人プレイの体性神経。

それをフォローするように自律神経は常にチームプレイに徹して働いていますが、そのために個々に目が届かず故障者も続出するとお話ししました。

身体に痛みや不調が出てしまうということです。

それならば、バランスの悪い身体を必死で支え続けるのではなく、バランスを整えてしまえばいいのです。

現在の医学や健康情報では、副交感神経がベストプレイヤー的な存在のように言われていますが、ピンチの時に何かをしてくれるのは、間違いなく交感神経です。一瞬の交感神経です。

キーワードはスッキリ!
ストレス発散と言われるようなことを意識してしまえばいい
のです。

ただし、人に当たったり、物に当たったりしないようにしてくださいね。

オススメは「感動」です。
感動して、背中がゾクゾク!となった時、なんとこれまでサボっていた筋肉にスイッチが入るのです。

サボっていた筋肉が働きだすと、身体のバランスが整い、自律神経がチームのことに気をまわしすぎることはなくなり、本来の仕事に戻れるのです。

あなたの大好きな映画は?大好きな曲は?

美術館へ行ったり、自然に溶け込んだり、スポーツ観戦も感動のドラマが生まれます。

感動の後は、心も穏やかになり、身体のバランスも整います。

この状態は副交感神経優位と言われていますが、ここへ至るまで導いてきたベストプレイヤーは交感神経なのです。

まとめ

残念なことに、自律神経を整えるとか、鍛えるとか、ネット上の情報は無責任に拡散されています。

自律神経の基本的な知識は医学の中でのみ成立しているわけですから、実際にその理論で自律神経の病気に悩む人を助けることができなければ、根本的な理論が間違っているかもしれない、または何か不足しているのかもしれないと考えるのが自然だと思います。

医学では、

「ストレスにより自律神経が乱れることで様々な症状が現れる」

とされていますが、

「ストレスによって身体のバランスが乱れると、自律神経がその状態を改善しようとしてくれる。その結果、様々な症状が現れてしまう」

が正解だと思います。

自律神経を整えることは難しくても、身体のバランスを整えることは簡単です。

ぜひ、自律神経の乱れで苦しんでいる方がいらっしゃったら、この記事をシェアしてあげてください。

身体出力を上げる脳が望む身体の使い方!|Brain's Consensus Communications

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