交感神経と副交感神経の自律神経のバランスが乱れ、崩れることで、痛みが発生し、病気の原因になります。交感神経、副交感神経のバランスの動きを理解することで、痛みから解放されるさまざまな方法を理解し、実践することができるのです。
1. 交感神経でストレスを撃退する
1-1.交感神経を一瞬高めることでストレスを発散する
日常生活において、私たちは痛みや病気の原因となるストレスを意識的に発散しています。その方法は人によってさまざまで、ストレスを発散するのが上手な人と下手な人がいます。
ストレス発散の上手な人は、交感神経が一瞬高まる方法をとり、適度な副交感神経の働きを呼び寄せている人だと言えます。
当然のことながら、ストレスを発散するのが上手い人は、痛みも感じにくく、病気にもなりにくいものです。
1-2.ストレス発散方法とその効果
それでは、一般的に行われているストレス発散方法を検証してみましょう。
- とにかく食べる
食べることで、消化を司る副交感神経が優位に働くので、交感神経の一瞬の働きを高めるということではないようです。 - 大声をあげる
この方法だと、交感神経が一瞬高まります。
しかし、場合によっては、人に迷惑がかかりますから注意が必要です。誰もいない山奥か海に向かって叫んでください。 - 物にあたる、人にあたる
これは確かに一瞬交感神経を高めますが、迷惑なのでやめましょう。罪悪感という余計なストレスを呼び込んでしまうこともあります。ただし、物にあたるためのグッズも販売されていますから、それを利用するのはOKでしょう。 - カラオケで歌う
歌っている時はいいですが、カラオケを歌った帰りは、ドッと疲れていることがあるはずです。これは、体力的なものもそうですが、激しく交感神経優位の状態を続けるために起こります。スッキリしたというよりもバランスが乱れた状態になってしまいがちです。 - お化け屋敷に行く
これは結構効果的です。お化け屋敷ならいくら叫んでもOKですから。出てきた時の安堵感と恐怖から逃げた気分で、ほどよい副交感神経優位な状態になるのではないでしょうか。ただし、泣きわめくぐらい恐怖を感じる人は、交感神経優位な状態が続いてしまうのでNGです。また、まったく恐怖を感じない人ももちろんNGです。 - 感動を味わう
これが一番だと思います。テレビでも映画でも漫画でも、美術館でもスポーツ観戦でも、自分の好きなもので感動をした時、鳥肌が立つような、背中がゾクゾクするような、深い感動を一時的に味わえることができれば、少々の病気ならよくなるほどの効果があり、痛みも忘れさせてくれるのです。 - やりたいことをする
やりたいことを、それも我慢した後にやる!非常にスッキリしますよね。スッキリこそが一瞬の交感神経の高まりなのです。嗜好品もこの類です。我慢していたタバコを思いっきり吸ったその瞬間、スッキリします。仕事帰りのお酒も格別です。ただし、深酒やタバコ自体、体によくないので、何か違う形でスッキリしたいものです。
1-3.日常的にストレス発散方法を取り入れる
あなたのストレス発散方法はどうでしたか?こうみてみると、一瞬の交感神経の高まりを生み出すものは、日常生活の中にたくさんあるのです。意識的に生活を取り入れてみるのは健康にとって非常によいことです。
2.免疫力は自律神経の働きで決まる
2-1.免疫力の高さが左右する自律神経の働き
自律神経は、他にもさまざまな役割を担っています。周りは風邪を引いているのに、何食わぬ顔して元気に過ごしている人がいます。この両者の違いを生み出しているのが「免疫力」の高さです。
免疫力というのは、体に侵入する細菌やウイルスを撃退してくれる力のことです。免疫力が高ければ、風邪や感染症といった病気になりにくいのです。
また、免疫力は、外敵からだけではなく、私たちの体の中で生まれる健康を脅かす存在から身を守る力でもあります。
2-2.自律神経が癌細胞も排除する
私たちは、健康的な人だとしても、体内では、毎日、何千個もの癌細胞が生まれています。それなのに、私たちが癌にならないのは、免疫力によって、それらが排除されているからなのです。
この大事な免疫力を担っているのが、血液中の「白血球」という成分です。
そして、この白血球の中には、細菌など比較的大きめな異物を食べてしまう顆粒球とウイルスなどの微小な異物を無毒化させるリンパ球の二つがあります。
これらに深くかかわっているのが、自律神経なのです。
2-3.免疫力は白血球のリンパ球の働きから
交感神経が優位に働くと、白血球の中の顆粒球が、副交感神経が優位に働き、白血球の中のリンパ球の割合が増加します。
いわゆる免疫といわれるものは、リンパ球の働きによります。微小な異物を無毒化する時に、リンパ球は抗体と呼ばれるたんぱく質を作って処理しますが、一度遭難した病原体に対しては、二回目からより効果的な対応をします。ワクチン接種で病気を予防するのは、リンパ球に免疫を獲得させるためです。
副交感神経で免疫力を上げる、とよく言われるのはこうした理由からなのです。
ただし、リンパ球だけでは、体を守りきることができません。
2-4. 交感神経、副交感神経のバランスによって免疫力を高める
交感神経の顆粒球と副交感神経のリンパ球、それぞれ役割が違う二つがバランスよく白血球中にある状態が、免疫力の高い状態なのです。
白血球の中にリンパ球だけが多い時がよいわけではありません。免疫力が高いのは、白血球の中に顆粒球が54~60パーセント、リンパ球が35~41パーセントの状態だと言われています。
自律神経は、交感神経と副交感神経を使いながら、顆粒球とリンパ球のバランスをちょうどよく調整して、免疫力の高い状態を保っているのです。
3.自律神経とやる気のメカニズム
3-1.自律神経の高まりによりやる気が生まれる
やるべき仕事はたくさんあるのに、やる気が出ない。試験前なのに、集中力が保てなくて、ついつい机の横にある漫画を読んでしまう。後でやれば大丈夫、集中できればすぐに片付くといっても、結局いつまでたっても、やる気や集中力は出てこないものです。
このような状態も自律神経の働きによって解決できます。
交感神経が優位になると、アドレナリンが分泌されます。アドレナリンが分泌されると、体の運動器官が活動的になり、集中力が高まっていきます。
そして、基本的に臓器は活発に働きます。肝臓ではエネルギーのもとであるブドウ糖がたくさん作られ、体はエネルギーに満ち溢れて活動的になります。
まさに闘うために必要な能力がぐぐっと高まってくるわけです。
3-2.自律神経を動かすことでやる気を引き出す方法
普段は、勉強や仕事などをする時に、交感神経が自然と優位な状態になり、これらの能力は無意識のうちに発揮されます。しかし、上手くいかない時は、意識的に交感神経を優位にすれば解決するのです。
方法は簡単です。
目をつぶり、「これから勉強するんだ、仕事をするんだ」という意識を持ちながら、首や肩を回してください。
「意識して体のバランスを整える」と同じ要領です。
心と体はつながっています。これから活動するんだという意識で行えば自然と相応しい自立神経の状態となります。
直接自律神経にアプローチすることはできませんから、体を使うことを呼び水にするのです。もちろん、体を動かすことで交感神経を刺激できますし、集中力も高まります。
集中しなきゃ、頑張らなきゃ、と心の中で焦るよりも、簡単に仕事も勉強も効率アップできるのです。
4.体を休ませる極意
4-1.リラックスは自律神経のバランス調整から
就寝時やリラックスしたい時、疲れがたまっている時もバランスを整えれば、あなたが望む自律神経の働きが手に入ります。今度は交感神経ではなく、副交感神経を高めるのです。
自分の体を癒そう、いい睡眠をとろう、と考えながら首や肩を回せばよいのです。
それでも、なかなか、寝つきが悪いという人もいるかもしれません。それは、まだ体が緊張状態にあるからだと考えられます。体はリラックス状態でないと、いい眠りが訪れません。
副交感神経が優位になると血管が拡張し、血流がよくなります。体の隅々まで血液が通い、全身があたたまり、睡眠にふさわしい状態となります。
全身に血流が回ることで、筋肉の緊張も緩和され、全身がリラックスした状態となります。
もし、首や肩を回してもだめなら、つま先や指などの末端を意識しながら回してみるのもいいでしょう。
焦らず、ゆっくりと体を癒す気持ちでバランスを整えてください。
だいたいの場合、バランスの調整のために体を動かすことが面倒くさくなって、気が付けば寝てしまっていることになると思います。
4-2.頭の中で感動を想像する
体を動かすことで目が覚めてしまいそうな人は、頭の中だけで体を動かしてみてください。実際には動かさなくていいのです。頭の中の想像だけで、足首を回したり、首や肩を回せばいいのです。
また体の動きのイメージが難しい人は、実際に経験した感動的な出来事を思い出してみてください。最近感動なんてしたことがないという人は、小さい頃のよき思い出などでもいいでしょう。適度に脳を刺激できるはずです。つまり交感神経を微かに動かせることになり、のちの副交感神経優位な状態につながるのです。
4-3.深呼吸で副交感神経を働かせられる
副交感神経そのものをコントロールする方法が一つだけあります。それは深呼吸です。「緊張したら深呼吸しさない」とはよく聞くアドバイスですが、これは実に利にかなっています。
自律神経はその名の通り、自律した神経ですので、基本的に私たちの意志で動かすことはできませんが、深呼吸を通してなら副交感神経を働かせることができてしまいます。休憩時間や眠る前などに深呼吸を心がけることで、疲れた体はよりリフレッシュするはずです。
5.体と自律神経は相互関係にある
5-1.自律神経の乱れは交感神経、副交感神経の優位バランスの乱れから
交感神経、副交感神経といった2つの神経の働きは、例えば日中、交感神経が60の力で働いている時に副交感神経が40の力で働き、夜、副交感神経が70の力で働くようになったら交感神経が30の力で働くというシーソーのような関係ではありません。
しかし、状況に対応した変化が起きず、ずっと交感神経が優位なままだったり、副交感神経が優位なままだったりすると、自律神経が乱れてしまう危険性があります。
いろいろなものに対して敏感な人、とてもきれい好きな人、ダメ出しばかりする人はいつもあらゆる方向にアンテナを張り巡らしてスイッチONの状態、つまり交感神経優位になっています。好きでやっているとしても自律神経においては乱れた状態です。
5-2.自律神経の乱れが心と身体の病気を生み出す
副交感神経が優位なままという状態は、自分から何かをしようとしてなる状態ではなく、交感神経優位な状態が続きすぎた時なので、これもまた乱れた状態です。この乱高下が躁うつ病と呼ばれるものです。
自律神経が乱れた状態が続くと、体のあらゆる器官が正常に機能せず、さまざまな病気を生み出します。当然体のバランスも乱れ、さまざまな症状が全身に現れ始めます。
病気になりやすい体になってしまったのです。
体のバランスが悪いせいで、自律神経が乱れるケースもあります。体のバランスが悪い状態の時、なんとか体のバランスをとろうと自律神経は体のあらゆるパーツに指令を出して頑張っています。
5-3自律神経と心のバランスは密接なつながりを持っている
交感神経を働かせ続けて筋肉を硬くし、それ以上、その部分を使わせないようにしたり、逆に副交感神経を働かせ続けて、筋肉をリラックスさせようとしたりするのです。
しかし、あまりにもバランスが悪い状態ですと、二つの神経が頑張ってもちょっとやそっとではバランスはとれません。
そうなると、どちらかの神経が働き続けるわけですから、自律神経のバランスが過度に偏り、自律神経が乱れた状態になってしまいます。
不意に怪我をして痛みがずっと続けば、それもストレスとなり自律神経を乱す原因になります。
このように、自律神経と心のバランスは密接なつながりを持っているのです。
自律神経が乱れれば体のバランスが乱れる、体に症状や痛みがあれば自律神経も乱れる、ということです。
まとめ
自律神経の乱れをコントロールすれば、体の痛みも軽減できます。自律神経である交感神経、副交感神経、それぞれの動きや働きについての理解は、自律神経をコントロールするために欠かせない知識です。体だけでなく、心の動きについても自律神経の動きは密接な関係を持っているのです。交感神経、副交感神経の乱れを適切にコントロールすることで、体の痛みを減らし、心のストレスを減らすこともできるのです。